抜け毛の原因は?皮膚科医が分ける5タイプ — 自然に治るもの、放置すると永続的になるもの
抜け毛(hair loss、alopecia)とは、髪が1日に100本を超えて続けて抜ける、または髪が細くなって頭皮が目立つようになった状態を指します。単一の病気ではなく、原因も治療法もまったく異なる少なくとも5つのグループの病気に共通する症状です。タイ人で最も多い原因は、病気やストレスのあとに起こる休止期脱毛(telogen effluvium)で、3〜6か月で自然に治ります。次に多いのは遺伝とホルモンによる薄毛(androgenetic alopecia)で、自然には治らず、治療しないと少しずつ永続的になっていきます。
この記事では5タイプすべてを整理し、それぞれに使われる実際の薬の名前、強さ、効果を判断するまでに必要な期間、あらかじめ知っておくべき副作用を示します。患者さんが何か月も無駄にする原因は「抜け毛の原因を知らないこと」ではなく、「タイプに合わない治療をしてしまうこと」だからです。
1日に何本抜けると異常なのか
健康な人の頭髪は約10万本で、1本ずつが自分のサイクルを持っています。約85〜90%は成長期(anagen)にあり、2〜6年続きます。残りの約10〜15%は休止期(telogen)にあり、2〜3か月続いてから抜けます。休止期の毛が1日50〜100本抜けるのは正常で、病気ではありません。
診察室で実際に使う基準は3つあります
本数を数える:1日100本を超える脱毛が2週間以上続けば異常です。シャンプーの日に150〜200本抜けても説明がつく範囲です。シャンプーは、数日分の抜ける準備ができた毛を一度にまとめて落とすからです。
密度を見る:抜け毛が多くても密度が変わらなければ、一時的な状態であることが多いです。逆に、抜ける量は多くないのに分け目が少しずつ広がっていくほうが危険です。新しく生える毛が以前の毛より細くなっていることを意味するからです。
プルテスト(pull test):医師が約60本の髪をつまんで軽く引き、手に6本を超えて(10%を超えて)抜ければ陽性です。気のせいではなく、脱毛が進行中であることを示します。
自分でできる確実な数え方は、1日に抜けた髪をすべて(枕、浴室、ブラシの分)集めて日ごとに袋に分け、7日間続けて平均を出すことです。1日だけ数えると誤解しやすく、シャンプーの日としない日で数倍違います。
抜け毛と薄毛は別のもので、治療も異なります
ここは患者さんが最もよく誤解する点で、多くの人がシャンプーを何本も買っても何も良くならない理由です。
抜け毛(shedding)とは、十分に成長した毛が一度に多数抜けることです。抜けた毛の根元には丸い白い塊がついており、長さも普通の髪と同じです。「原因はもう終わっていて、髪が遅れてついてきている」状態で、多くは自然に回復します。
薄毛(thinning / miniaturization)とは、毛が成長のたびに少しずつ細く、短く、色が薄くなり、最後は産毛になることです。抜ける毛は普通より短く細いことが多いです。この状態は自然には治らず、毛根がまだ完全に死んでいない時期だけが、薬がよく効く唯一の時期です。
実際の目安として、ブラシに長くて太い毛がたくさんつくなら一時的な抜け毛の可能性が高いです。一方、中央の分け目を1年前の写真と比べて広がっていれば、それは薄毛であり、様子を見るのではなく薬を始める必要があります。この違いはとても重要です。遺伝による薄毛の薬は休止期脱毛には効きませんし、薄毛が自然に治るのを待つことは、毛根を失い続けることだからです。
薬を始める前に見分けるべき5タイプの抜け毛
抜け毛の治療は、ただ一つの問いから始まります。毛根はまだあるのか、なくなったのか。毛根が残っていれば髪は再び生えます。毛穴が線維組織に置き換わってしまうと、どんな薬でも戻せません。次の5タイプは、多いものから緊急性の高いものへの順に並べています。
タイプ1 休止期脱毛(Telogen effluvium)
特徴:頭全体が均等に大量に抜けます。多くは1日150〜400本で、シャンプーやブラッシングのときに目立ちます。抜けた毛は普通の長さで根元に白い塊があります。全体の密度は下がりますが、はげた斑点や局所的に広がった分け目はありません。
原因:体が何らかの影響を受け、多数の毛が同時に休止期へ押し出されます。よくある要因は、高熱や重い感染症、手術、出産、急な減量や食事制限、鉄欠乏、甲状腺の病気、強いストレス、特定の薬の開始や中止です。重要なのは、要因が起きたのは抜け毛の約2〜3か月前だということです。そのため患者さんは原因に思い当たらないことが多く、髪が抜けているころにはすでに病気が治っているからです。
重症度・緊急性:緊急ではありません。毛根はすべて健全です。誘因がなくなれば3〜6か月で抜け毛が止まり、密度は6〜12か月で元に戻ります。6か月を超えて続く場合は慢性型と呼び、隠れた原因をさらに探す必要があります。
受診の目安:誘因が見つからないまま3か月を超えて抜け続けるとき、疲れやすい、月経量が多い、体重が変わるなど他の症状を伴うとき、または分け目が広がり始めたとき(この状態の下に遺伝性の薄毛が隠れていることを意味します)です。
この状態を治すのは育毛サプリではなく、根本原因の是正です。たとえば、本当に不足しているときに鉄を補う、甲状腺の薬を適正範囲に調整する、不足している栄養を補う、などです。待つあいだは、普段どおりに髪をケアし、抜けるのが怖くてシャンプーをやめることは避けてください。洗わなくても抜ける本数は減りません。抜けるのが後日にまとめて来るだけです。
タイプ2 遺伝とホルモンによる薄毛(Androgenetic alopecia)
特徴:男性では額の両側が深く後退してM字になり、続いて頭頂部が薄くなります。女性では中央の分け目から始まり、クリスマスツリーのように少しずつ広がることが多く、前髪の生え際は残ることが多いです。特徴は、その部分の毛の太さがそろわず、太い毛と産毛のような細い毛が混在することです。
原因:ホルモンに敏感な部位の毛根が、テストステロンから5-alpha reductase酵素によって変換されたホルモンDHT(dihydrotestosterone)の影響を受け、成長期が毎回短くなります。毛は次第に細くなり、産毛になって、最後には生えなくなります。このDHTへの感受性は遺伝します。
重症度・緊急性:健康に害はありませんが、5タイプのなかで唯一「待つほど失う」タイプです。毛根が完全に萎縮してしまうと、薬では戻せないからです。薬が最もよく効くのは、その部分にまだ産毛が見える時期です。
受診の目安:古い写真と比べて分け目が広がった、生え際が後退したと気づいたらすぐです。頭皮がはっきり見えるまで待つ必要はありません。早く始めるか遅く始めるかで、結果に明らかな差が出るからです。
このタイプは、ミノキシジルとフィナステリドが的確に作用するタイプです。薬の使い方の詳細は下の薬の項目にあります。このテーマだけを深く読みたい方は、記事遺伝性の薄毛(Androgenetic Alopecia)をご覧ください。
タイプ3 円形脱毛症(Alopecia areata)
特徴:縁がなめらかな、円形または楕円形の脱毛斑です。斑の中の皮膚はなめらかで、赤みも鱗屑も瘢痕もなく、毛穴は見えます。斑の縁に、先が広がった短い毛(感嘆符のような毛)が見られることがあります。眉毛、ひげ、まつ毛に出る人もいて、爪に小さなくぼみを伴うこともあります。
原因:免疫システムが誤って自分の毛根を攻撃します。自己免疫性の甲状腺炎、白斑、アトピー性皮膚炎など、ほかの免疫の病気を合併することがあります。
重症度・緊急性:毛根は死なないので、長い年月がたっても再び生えることがあります。1か所だけの人の約50%は1年以内に自然に治ります。ただし、急速に広がる、多発する、思春期前に発症する、後頭部の生え際まで広がる場合は、見通しが悪くなるので早めの治療が望まれます。
受診の目安:縁のはっきりした脱毛斑に気づいたらすぐです。頭部白癬や瘢痕性脱毛との区別が必ず必要だからです。斑に鱗屑、赤み、膿疱がある場合は、ステロイドを塗るのではなく抗真菌薬の内服が必要な頭部白癬(tinea capitis)を考えます。
診断の詳細と治療の選択肢は、記事円形脱毛症(Alopecia Areata)にまとめています。
タイプ4 牽引性脱毛症(Traction alopecia)
特徴:いつも引っ張られる部分に沿って髪が薄くなります。こめかみや前髪の生え際に多くみられます。特徴的なサインは、もとの生え際に沿って細い毛が1列だけ残ることです。初期には毛穴の周りに赤いぶつぶつが出たり、髪を結ぶと頭皮が痛んだりすることがあります。
原因:毛根に続く引っ張る力です。きつい結び方、きついおさげ、エクステ、きつく締めるクリップや帽子の常用などが原因です。毛を弱くする化学薬品でのパーマや縮毛矯正が重なることもあります。
重症度・緊急性:初期は、引っ張る力をやめれば完全に元に戻ります。しかし何年も放置すると永続的な瘢痕になります。「治る」と「治らない」の境目は、その部分に毛穴がまだ見えるかどうかです。
受診の目安:引っ張る髪型をやめて3か月たっても髪が戻らないとき、またはその部分の皮膚がなめらかでつやつやして毛穴が見えなくなってきたときです。
タイプ5 瘢痕性脱毛症(Scarring alopecia)
特徴:皮膚がなめらかでつやがあり、毛穴が見えない脱毛斑です。縁は円形脱毛症のようになめらかでないことが多く、赤み、毛穴周囲の鱗屑、膿疱、1つの毛穴から複数の毛が出る様子がみられることもあります。先に頭皮のヒリヒリ感、かゆみ、痛みを訴える患者さんが多いです。
原因:毛穴の幹細胞を壊し、線維組織に置き換えてしまう病気のグループです。たとえば lichen planopilaris、閉経後の女性で前髪の生え際と眉が一緒に後退する frontal fibrosing alopecia、central centrifugal cicatricial alopecia、folliculitis decalvans などがあります。
重症度・緊急性:5タイプのなかで最も緊急です壊れた毛穴は、どれだけ良い治療をしても戻らないからです。治療の目標は進行を止めることであり、髪を取り戻すことではありません。待つ1か月ごとに、永久に失われる毛根が増えます。
受診の目安:その週のうちに様子を見る必要はありません。診断には頭皮の組織を採って調べる検査が必要なことが多く、線維組織がすべての証拠を覆い隠す前に早く行うほど、正確な答えが得られます。
肉眼での実用的な見分け方:ライトを当てて脱毛斑の皮膚を見て、小さな毛穴の点が散らばって見えるなら、元に戻る可能性のある非瘢痕性です。皮膚が瘢痕のようになめらかでつやがあり、毛穴がまったく見えないなら、医師が別のものだと証明するまでは緊急として扱ってください。
女性の抜け毛 ライフステージ別 産後・ピル・更年期
女性の抜け毛は、原因が1つだけではないことが多く、すでに進んでいる遺伝性の薄毛に、一時的な状態が重なったものです。ライフステージ別に分けると、自然に治るものと治療が必要なものを見分けやすくなります。
産後(postpartum telogen effluvium):妊娠中は高いエストロゲンのため、髪が通常より長く成長期にとどまります。出産後にホルモン値が下がると、その毛が一斉に休止期に入ります。そのため抜け毛は産後2〜4か月に始まり、3〜4か月目に最も多くなり、そのあと少しずつ減ります。密度は6〜12か月でほぼ元に戻ります。薬の必要がない正常な状態ですが、鉄と甲状腺は産後に異常がよくみられ、回復を遅らせるので検査をおすすめします。
ピルを飲んで抜け毛:2つのタイミングで起こります。1つ目はピルを始めて1〜3か月で、特にアンドロゲン作用の強いプロゲスチンを含む処方です。2つ目はより多く、ピルを「やめて」2〜3か月後で、産後と同じホルモン変化だからです。どちらも休止期脱毛で、3〜6か月で自然に治ることが多いです。ピルを続ける必要がある場合は、抗アンドロゲン作用のあるプロゲスチンの処方に変えることがあります。急にやめると再び抜け毛が増えることがあるので、相談せずに自分でやめないでください。
閉経期:エストロゲンが減るとアンドロゲンの割合が高まり、遺伝性の薄毛が進みやすくなります。特徴は、1〜2年のうちに分け目がはっきり広がることです。休止期脱毛と違って、ごっそり抜けるのではなく少しずつ薄くなります。この時期は、待つ時期ではなく薬を始める時期です。
月経量が多い人とベジタリアン:この2つのグループは、タイ人女性のなかで鉄欠乏のリスクが最も明らかなグループで、あらゆる原因のなかで最も簡単に改善できる原因です。そのため、抜け毛で受診したときは必ずフェリチン値を検査すべきです。
男性の抜け毛 どこから始まり、どのくらいの速さで進むか
男性の薄毛の95%以上は遺伝とホルモンが原因です。進行の順序はかなり予測できます。まずこめかみの生え際が深く後退してM字になり、次に頭頂部が薄くなり、2つの部分が少しずつつながります。後頭部と耳の上の毛は、その部分の毛根がDHTに敏感でないため、たいてい残ります。これは、この部分が植毛のドナーとして使われるのと同じ理由です。
進行の速さは人によって大きく違います。生え際が後退して何十年も止まったままの人もいれば、3〜5年ではっきり薄くなる人もいます。最も良い予測因子は、父方と母方の両方の家族歴と、発症した年齢です。発症が早いほど、特に25歳前だと、進行しやすい傾向があります。
注意点として、はっきりしたパターンがなく頭全体が大量に抜ける男性は、遺伝と決めつけないでください。甲状腺、鉄欠乏、第2期梅毒などの隠れた状態を調べる必要があります。第2期梅毒では、虫に食われたような小さな斑状の脱毛が散らばり、手のひらや足の裏に第2期梅毒の発疹を伴うことが多いです。
病気や薬による抜け毛
抜け毛は、いくつもの内科の病気のサインになりえます。そのため、診察と血液検査は余計な手順ではありません。診療で最も多いグループは次のとおりです。
鉄欠乏:妊娠可能な年齢の女性で最も多いです。使う値はヘモグロビンではなくフェリチンです。貧血になる前に鉄が不足することがあるからです。研究の大半は、フェリチンが30ナノグラム/ミリリットル未満のときに抜け毛との関連を認めています。
甲状腺の病気:甲状腺機能亢進症も低下症も、どちらも抜け毛を起こします。甲状腺機能低下症では、髪が乾いてごわつき、眉の外側が薄くなることが多いです。まずTSH値で調べます。
SLEなどの自己免疫疾患:前髪の生え際の髪が短く折れやすくなり、頬の発疹、関節痛、日光過敏を伴います。
第2期梅毒:小さな脱毛斑が不規則に散らばります。VDRLとTPHAで調べます。
抜け毛を起こしうる薬:抗がん剤(成長期の髪を抜けさせるため、ほかのタイプより多く速く抜けます)、抗けいれん薬、抗凝固薬、内服のレチノイド系ニキビ薬、一部の降圧薬、甲状腺の薬、リチウムです。仕組みの多くは休止期脱毛の誘発なので、薬をやめて3〜6か月で回復することが多いです。処方した医師に相談せずに、常用薬を自分でやめてはいけません。
どのビタミンが足りないと抜け毛になるか 根拠のある答え
「抜け毛はどのビタミン不足が原因か」は、最もよく検索される言葉の1つですが、根拠に合う答えは広告が言うよりずっと狭いです。原則は、栄養素の補給が役立つのは本当に不足しているときだけだということです。不足していない人が補っても髪は生えませんし、摂りすぎるとかえって抜け毛の原因になるものもあります。
鉄:根拠が最もしっかりしています。フェリチンが低いときに検査して補います。ビタミンCと一緒に摂り、牛乳、お茶、コーヒー、カルシウムと一緒に摂るのは避けてください(吸収が下がります)。貯蔵鉄が満たされるまで、何か月も続けて摂る必要があります。
ビタミンD:円形脱毛症や女性の薄毛との関連が報告されていますが、補うと髪が生えるという根拠はまだはっきりしていません。本当に低いときに補うのがよいでしょう。
亜鉛:はっきり関係があるのは、本当に不足している人だけです。たとえば胃の縮小手術後の患者さんや、吸収に異常のある腸の病気がある人です。
ビオチン:ビオチン欠乏は一般の人ではとてもまれです。不足していない人が補っても効果があるという根拠はありません。また、あまり知られていない注意点として、高用量のビオチンは多くの血液検査に影響します。甲状腺の値や心臓の酵素の値も含まれ、結果がずれて誤診につながることがあります。採血の少なくとも2〜3日前にはやめ、必ず医師に伝えてください。
たんぱく質:急な減量や、体が必要とするよりも少ないたんぱく質の摂取は、休止期脱毛の原因としてよくあり、わかりやすく改善できます。
摂りすぎて抜け毛になるもの:高用量のビタミンAと、過剰なセレンです。検査せずに複数のサプリメントを自分で重ねて飲むべきでない理由です。
皮膚科を受診すると何を調べるか
抜け毛の診察は時間がかからず、ほとんど痛みはありません。実際に行う順序は次のとおりです。
問診 — 期間、抜け方のパターン、3〜6か月前の出来事、使っている薬、家族歴、月経、体重、食事。
拡大鏡による頭皮の観察(trichoscopy) — 遺伝性を示す毛の太さのばらつき、毛穴が残っているかなくなったか(瘢痕性の判別)、円形脱毛症に特有の所見を調べます。
プルテスト(pull test) — 脱毛が進行中かどうかがわかります。
適応に応じた血液検査 — よく使うのは CBC、フェリチン、TSH です。VDRL、ANA、ビタミンD、性ホルモンは、問診がその方向を示したときに行います。
頭皮の生検 — 瘢痕性を疑うとき、または診断がはっきりしないときに行います。局所麻酔を使い、傷は約4ミリメートルと小さいです。
比較写真の撮影 — 思っているより重要です。薬が効いているかどうかの評価には、同じ角度・同じ光で、少なくとも6か月あけて撮った写真が必要だからです。「良くなった・悪くなった」という感覚は、短期間では信頼できません。
ミノキシジル(minoxidil)外用薬を効果的に使うには
外用ミノキシジルは、遺伝性の薄毛の最初の主な薬で、男女とも使えます。毛根の血管を広げて成長期を長くし、細くなった毛を再び太くすることができます。
強さと剤形:液体(solution)とフォームがあり、強さは2%と5%です。
使用量:男性は5%フォームを1日1回、または5%液体を1回1ミリリットル、1日2回。女性は多くの場合、5%フォームを1日1回、または2%液体を1回1ミリリットル、1日2回です。
塗り方:完全に乾いた頭皮に、髪ではなく頭皮に塗ります。分け目を作って薄い部分全体に塗り、指先でなじませて手を洗います。水に触れるまで少なくとも4時間あけてください。寝る前に塗る場合は、枕カバーにつかないよう乾く時間を見込んでください。
効果を判断するまでの期間:4〜6か月で評価し、約12か月で十分な効果が出ます。2か月目で「効かない」と思ってやめてしまうことが、治療の失敗で最も多い原因です。
開始時に抜け毛が増える時期(shedding phase):最初の2〜8週間に、多くの人が以前より多く抜けます。薬が休止期の毛を抜けさせ、新しい毛が生える場所を作るからです。これは薬が効き始めたサインであり、薬のアレルギーのサインではありません。症状は4〜8週間で自然に落ち着きます。このために薬をやめないでください。
効いているかどうかの見分け方:6か月の時点で写真を比べて、毛が増えている、または少なくとも薄くなるのが止まっていれば、効いているので続けてください。比べてまったく変わらなければ、診断が正しいかを医師に見直してもらい、ほかの薬の追加も検討してください。
続けて使う必要があります:病気をコントロールする薬であり、完治させる薬ではありません。やめると、得られた髪は3〜6か月かけて少しずつ失われます。
みられる副作用:頭皮の乾燥、かゆみ、はがれ。液体に含まれるプロピレングリコールが原因のことが多く、フォームに変えると解決することが多いです。女性では、薬が顔に垂れると顔に毛が生えることがあるので、決められた量を塗り、毎回手を洗ってください。
内服:低用量の内服ミノキシジルが使われることもありますが、承認された適応外の使用です。医師の管理のもとで、心臓と血管への副作用を確認しながら使う必要があります。自分で購入して使わないでください。
ミノキシジルを正しい方法で12か月使っても効果がなかった方は、次のステップを記事ミノキシジルを使っても治らない抜け毛で読めます。
フィナステリド(finasteride)とデュタステリド(dutasteride)の内服薬
このグループの薬は5-alpha reductase酵素を阻害し、遺伝性の薄毛の原因であるDHTの産生を直接減らします。医師の処方が必要な薬です。
フィナステリド(finasteride):男性の薄毛に使う量は1日1ミリグラムです。食前でも食後でも飲めます。血中のDHTを約60〜70%下げます。6か月で評価し、12か月で十分な効果が出ます。外用ミノキシジルと併用でき、1つだけより良い結果になることが多いです。
あらかじめ知っておくべき副作用:性欲の低下や勃起力の低下といった性機能の副作用が約1〜2%にみられ、多くは薬をやめれば正常に戻ります。一部の人に、うつ症状や気分の変化の報告があります。起きた場合は、医師に伝えて薬の使用を見直してください。
前立腺がん検診についての注意:この薬はPSA値を約半分に下げます。PSAの検査を受ける前には、毎回必ず医師に伝えてください。結果を正しく読み取るためです。
重要な禁忌:妊娠中の女性、または妊娠の可能性のある女性は使用できません。男児の生殖器の発達に害があるためです。また、妊娠中の女性は、割れたり砕いたりした錠剤に触れてはいけません。
デュタステリド(dutasteride):1日0.5ミリグラムで、1型と2型の両方の酵素を阻害するため、DHTをより大きく減らします。遺伝性の薄毛への使用は、多くの国で承認された適応外の使用です。フィナステリドで効果が足りないときに検討されることが多いです。これについての判断は医師が行うもので、自分で量を調整するものではありません。
こちらも続けて使う必要があります:薬をやめると、6〜12か月で元の薄毛に戻ります。
スピロノラクトン(spironolactone) 女性の選択肢
遺伝性の薄毛の女性で、ミノキシジルだけでは足りないときに、医師が抗アンドロゲン薬を検討することがあります。
使用量:一般に1日50〜200ミリグラムです。低用量から始め、反応と副作用に応じて少しずつ増やすことが多いです。承認された適応外の使用です。
効果を判断するまでの期間:このグループのほかの薬と同じく6〜12か月です。
確認すべきこと:血中カリウム値と血圧です。この薬は利尿薬としても働くためです。月経不順や乳房の張りや痛みが出ることがあります。
禁忌:妊娠中の女性は使用できません。妊娠を計画している方は、薬を使う間、確実な避妊をしてください。また、高カリウム血症や腎機能障害のある方は使用できません。
女性のほかの選択肢:抗アンドロゲン作用のあるプロゲスチンを含むピルが、一部の人に役立つことがあります。避妊の必要性や血栓のリスクとあわせて、個別に検討します。
円形脱毛症に使う薬 ステロイドとJAK阻害薬
円形脱毛症は、遺伝性の薄毛とはまったく別のグループの薬を使います。原因がホルモンではなく免疫だからです。
病変内ステロイド注射:トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide)を約2.5〜10ミリグラム/ミリリットルの濃度で、斑の真皮に4〜6週間ごとに注射します。斑が数か所の人に対する第一選択の治療です。みられる副作用は、注射した部分の一時的な皮膚のくぼみです。
外用ステロイド:成人には強い強さのものを使い、注射がまだできない子どもでは第一選択です。長く続けて塗ると皮膚が薄くなるので、医師が決めた期間に従って使う必要があります。
局所免疫療法と内服の免疫抑制薬:広範囲の人や、初期の治療で効果がない人に使います。専門医の管理のもとで使う必要があります。
JAK阻害薬:バリシチニブ(baricitinib)やリトレシチニブ(ritlecitinib)などで、2022年以降、成人の重症の円形脱毛症に承認された内服薬です。続けて使い、定期的に血液検査を行い、開始前に感染症のスクリーニングを行う必要があります。詳細は記事円形脱毛症のBaricitinib(JAK阻害薬)をご覧ください。
重要な注意:診断のついていない脱毛斑にステロイドを塗ってはいけません。実は頭部白癬だった場合、ステロイドは炎症を抑えて一時的に良く見せますが、真菌はさらに広がり、永続的な瘢痕を残す腫れた炎症の斑になることがあります。
補助的な治療 PRP、低出力光、植毛
このグループは補助的な選択肢で、主な薬の代わりにはならず、根拠の水準もそれぞれ異なります。
多血小板血漿(PRP)注射:患者さん自身の血液を遠心して血小板を分け、頭皮に注射し戻します。最初は約1か月おきに数回行い、そのあと間隔をあけることが多いです。遺伝性の薄毛では、ある程度の根拠があります。ただし、調製方法や回数はまだ統一されておらず、結果は人によって異なります。
低出力レーザー光(low-level light therapy):遺伝性の薄毛で、密度がわずかに増える可能性を示した研究があります。何か月も続けて使う必要があり、補助であって主役ではありません。
植毛:DHTに敏感でない後頭部から、薄い部分へ毛根を移す方法です。病気が落ち着いていて、ドナーの髪が十分にある人に向いています。誤解されやすい点は、植毛はもとの毛の病気の進行を止めないことです。そのため植毛後も薬を続ける必要があり、そうしないと周囲のもとの髪が薄くなり、数年で差が目立ちます。
まだ十分な根拠がないもの:さまざまなオイルでの頭皮マッサージ、髪が生えると宣伝されているハーブ系の美容液、数週間で効果が出るとうたう治療です。
上記のすべての施術にはリスクがあり、結果は人によって異なります。医師による評価と施術を受け、決める前に限界を含むすべての選択肢を知っておく必要があります。
抜け毛予防のシャンプーとサプリメントは本当に役立つのか
シャンプーは頭皮に数分しかなく、洗い流されるため、抜け毛の主な治療にはなりえません。しかし、まったく無意味でもありません。その本当の役割は、抜け毛を増やす頭皮の状態を整えることです。
ケトコナゾール2%シャンプー(ketoconazole):遺伝性の薄毛の補助になる根拠があり、かゆみや抜け毛を増やす脂漏性皮膚炎を直接治療できます。週2回使い、頭皮に3〜5分置いてから洗い流します。すぐに洗い流すと効果がありません。
ジンクピリチオンや硫化セレンなどのほかのフケ用シャンプー:フケとかゆみを抑え、かくことで髪が切れて抜けるのを減らします。フケも伴う場合は、見分け方と治療をフケの原因は何かでご覧ください。
育毛や抜け毛予防をうたうシャンプー:多くは、薬と同じ水準の臨床データの裏づけがありません。やさしいシャンプーとして使うのは構いませんが、治療の代わりにしてはいけません。
ヘアケア用サプリメント:原則は同じで、本当に不足しているときだけ役立ちます。複数を同時に摂ると、ビタミンAやセレンを過剰に摂る可能性が高まり、それ自体が抜け毛の原因になります。補うなら、何が不足しているかを先に検査してください。
頻繁にシャンプーをしても抜け毛は増えません。シャンプーのときに抜ける髪は、もともと抜ける準備ができていた髪です。何日もシャンプーをしないと、一度にまとめて抜けるだけで、以前より驚くように見えます。
待たずに皮膚科を受診すべきサイン
脱毛斑の皮膚がなめらかでつやがあり、毛穴が見えない、または鱗屑、赤み、膿疱、ヒリヒリ感がある — 瘢痕性脱毛をできるだけ早く見分ける必要があります。
数週間のうちに急速に抜け毛が進む、または3か月たたないうちに頭皮がはっきり見えるまで抜ける。
子どもの抜け毛で、鱗屑、頭皮の赤み、耳の後ろのリンパ節の腫れがある — 抗真菌薬の内服が必要な頭部白癬を考えます。塗り薬だけでは治りません。
抜け毛に加えて、体重の大きな変化、月経異常、疲れやすさ、動悸、関節痛、手のひらや足の裏の発疹などの身体症状がある。
円形脱毛症に加えて、眉毛、ひげ、まつ毛が抜ける。
ミノキシジルを正しく続けて6か月たっても何も変わらない。
慢性的な頭皮のかゆみと抜け毛がある。見分け方は頭皮のかゆみの原因は何かをご覧ください。
かんたんなまとめ
1日50〜100本の抜け毛は正常です。気にすべきなのは、100本を超える脱毛が2週間以上続くこと、または古い写真と比べて分け目が広がっていることです。
まず、抜け毛(抜ける本数は多いが太さは変わらない。多くは3〜6か月で自然に治る)なのか、薄毛(毛が少しずつ細くなる。自然には治らず、薬が必要)なのかを見分けてください。
休止期脱毛は、約2〜3か月前に誘因があります。原因を正せば自然に回復します。遺伝性の薄毛は、薬を早く始めるほど効果が出ます。
根拠のある主な薬は、全性別向けの外用ミノキシジル2〜5%、男性向けのフィナステリド1ミリグラム/日、一部の女性向けのスピロノラクトンです。いずれも続けて使い、6〜12か月で評価する必要があります。
ミノキシジルを始めて2〜8週目に抜け毛が増えるのは正常で、薬をやめる理由にはなりません。
サプリメントは本当に不足しているときだけ役立ちます。必ず先に検査してください。特に鉄と甲状腺です。
読み終えてもまだ迷う場合にすべきこと:中央の分け目と生え際を同じ光で撮影して基準の記録にしておき、薬やサプリメントを買う前に、皮膚科を予約してタイプを見分けてもらってください。
そのほかの皮膚疾患の記事は皮膚疾患の記事一覧でご覧いただけます。
よくあるご質問
抜け毛の原因は何ですか。どう治しますか
抜け毛の原因は主に5つのグループです。病気やストレスのあとに起こる休止期脱毛、遺伝とホルモンによる薄毛、免疫による円形脱毛症、牽引性脱毛症、そして瘢痕性脱毛症です。そのため治療は、まずどのタイプかを見分けることから始まります。使う薬がすべて異なるからです。休止期脱毛であれば、本当に不足しているときに鉄を補う、甲状腺を正常に整えるなど、根本原因を正せば、6〜12か月で髪は自然に戻ります。一方、遺伝性の薄毛であれば、外用ミノキシジルを始める必要があり、男性ではフィナステリド1ミリグラム/日を加えることもあります。やってはいけないのは、タイプがわからないまま育毛ビタミンを自分で買って飲むことです。時間と、薬が効くチャンスを失ってしまいます。
抜け毛には何を使えばよいですか。どの薬が本当に効きますか
医学的な根拠がはっきりしている薬は多くありません。1つ目は外用ミノキシジルで、男性は5%、女性は2〜5%です。乾いた頭皮に塗り、少なくとも4時間置き、続けて使って4〜6か月で評価します。2つ目は内服のフィナステリド1ミリグラム/日で、男性に使い、医師の処方が必要です。3つ目はスピロノラクトンで、一部の女性にカリウム値を確認しながら使います。円形脱毛症は別のグループの薬で、病変内ステロイド注射やJAK阻害薬を使います。シャンプーとサプリメントは補助にすぎず、主役ではありません。薬の選択は、診断と医師の処方を経て行う必要があります。
女性の抜け毛の治療は男性と違いますか
細かい点で異なります。外用ミノキシジルは男女とも使えますが、女性は顔に毛が生える可能性を減らすため、5%フォームを1日1回、または2%液体を1日2回使うことが多いです。フィナステリドは男性に使う薬で、妊娠中の女性や妊娠の可能性のある女性は絶対に使用できません。反応が足りない女性の選択肢はスピロノラクトン50〜200ミリグラム/日で、カリウムと血圧の確認が必要で、使用中は避妊が必要です。もう1つの違いは、女性では隠れた状態をより詳しく調べる必要があることです。特にフェリチンと甲状腺です。鉄欠乏のほうがはるかに多く、最も簡単に改善できる原因だからです。
1日100本の抜け毛は正常ですか
正常です。一般に1日50〜100本抜けるのは、自然な髪のサイクルの一部です。異常かどうかを分けるのは1日だけの本数ではなく、1日100本を超える脱毛が2週間以上続くことです。信頼できる測り方は、1日に抜けた髪をすべて集めて7日間続け、平均を出すことです。シャンプーの日は、異常でなくても普段の2〜3倍抜けるからです。本数を数えるより大切なのは密度を見ることです。抜け毛が多くても分け目が変わらなければ、一時的な状態であることが多いです。一方、抜ける量は多くないのに分け目が少しずつ広がっているなら、それは薄毛であり、薬を始めるために受診が必要です。
ピルを飲んで抜け毛になりました。やめれば治りますか
ほとんどは治りますが、まずタイミングを理解する必要があります。ピルに関連する抜け毛は2つの時期に起こります。1つ目はピルを始めて1〜3か月で、特にアンドロゲン作用の強いプロゲスチンを含む処方です。2つ目はより多く、ピルをやめて2〜3か月後で、産後と同じホルモン変化が起こるためです。どちらも休止期脱毛で、3〜6か月で自然に止まり、密度は6〜12か月で戻ります。注意点は、急にピルを自分でやめないことです。再び抜け毛を誘発することがあります。続ける必要がある場合は、医師に相談して、抗アンドロゲン作用のあるプロゲスチンの処方に変えてください。6か月を超えて抜ける場合は、鉄の低下や甲状腺など、ほかの原因も検査してください。
抜け毛がひどいとき、どんな病気が考えられますか
最も多いのは、高熱、手術、出産、急な減量、ストレスによる休止期脱毛で、約2〜3か月前に誘因があります。次に多いのは遺伝とホルモンによる薄毛です。抜け毛を起こし、必ず調べるべき内科の病気は、フェリチン値でわかる鉄欠乏、TSH値でわかる甲状腺の機能亢進と低下、SLEなどの自己免疫疾患、そして小さな斑状の脱毛が不規則に散らばる第2期梅毒です。このほか、抗がん剤、抗けいれん薬、抗凝固薬、内服のレチノイドなど、多くの薬も抜け毛の原因になります。疲れやすい、体重が変わる、月経異常など、ほかの身体症状を伴う場合は、原因を調べるために受診して血液検査を受けてください。
この記事の情報は教育を目的としたもので、個々の診断や治療の指示ではありません。薬の種類、量、使用期間の選択は、必ず医師の診察と処方に基づく必要があります。
執筆:Patara Voravutinon 医師(皮膚科専門医)· 最終確認日 2026年9月20日


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