
炎症後色素沈着(PIH):原因、跡を薄くする方法、本当に役立つ成分
炎症後色素沈着、またはPIH(Post-Inflammatory Hyperpigmentation)とは、皮膚に炎症が起きた後に肌の色が濃くなった状態です。ニキビ跡の黒ずみ、アレルギー性の発疹、擦り傷、虫刺されなどの後に見られます。アジア人や肌の色が濃い方に非常によく見られます。これは、炎症が色素細胞を刺激し、メラニンが通常より多く蓄積するためです。大切なのは、炎症後色素沈着は赤みや瘢痕(きずあと)とは異なり、適切な方法で治療しながら徹底して日焼け止めを使えば改善が期待できるということです。
この記事では、皮膚科専門医が、炎症後色素沈着の原因、赤み(PIE)との違い、本当に役立つ成分、クリニックでの治療について解説します。
要点まとめ 炎症後色素沈着PIH(Quick Facts)
どんな状態か: ニキビ跡の黒ずみなど、皮膚の炎症の後にできる濃い色(茶色から黒)の跡です。
原因: 炎症によって色素細胞が刺激され、メラニンが通常より多く作られることです。
赤み(PIE)との違い: PIHは茶色から黒で、PIEは血管による赤い跡です。
役立つ成分: ナイアシンアミド、ビタミンC、レチノイド、アゼライン酸、トラネキサム酸、アルブチンです。
最も大切なこと: 日差しで跡が濃くなり薄くなりにくくなるため、毎日日焼け止めを使うことです。
炎症後色素沈着(PIH)の原因
PIHは、皮膚に炎症が起きた後、色素細胞(melanocytes)が刺激されてメラニンを通常より多く作ることで生じます。炎症のあった部位にメラニンが蓄積し、濃い色の跡になります。発生や悪化に関わる要因は次のとおりです。
炎症を起こしたニキビや、ニキビを潰す・いじることはニキビ跡の黒ずみの最も多い原因です。
アトピー性皮膚炎、擦り傷、虫刺され、その他の皮膚疾患によって皮膚に炎症が起きた場合。
日焼け止めを使わずに日光を浴びることで色素が刺激され、跡が濃くなり薄くなりにくくなります。
肌の色が濃いこと。PIHができやすく、目立ちやすい傾向があります。
繰り返しかくことや刺激によって炎症が長引くこと。
炎症後色素沈着は、赤み(PIE)や瘢痕とどう違うのですか
ニキビや炎症の後の跡にはいくつか種類があります。正しく見分けることで、合った治療を選びやすくなります。
炎症後色素沈着(PIH): メラニン色素による茶色から黒の跡です。多くは色素を抑える成分や日焼け止めに反応します。
炎症後の赤み(PIE): 毛細血管によるピンクから赤の跡です。色白の肌に多く見られ、血管レーザーなど、PIHとは異なる治療を行います。
ニキビ跡のへこみや瘢痕: 色だけでなく、肌の質感の異常(へこみや盛り上がり)です。専門の施術が必要です。
肝斑(melasma): ホルモンや日光に関係する茶色の斑で、部分的な炎症が原因ではありません。
見分けるポイント:肌を引っ張って跡が薄くなる場合は、赤み(PIE)であることが多く、茶色く濃いままであれば、黒ずみ(PIH)であることが多いです。
黒ずみを本当に薄くする成分
炎症後色素沈着を薄くすることが研究で示されている成分は次のとおりです。
ナイアシンアミド(Niacinamide): 色素が肌表面に運ばれるのを抑え、炎症も和らげます。刺激が少ない成分です。
ビタミンC(Vitamin C): 抗酸化作用があり、肌を明るく見せます。
レチノイド(Retinoid): ターンオーバーを促し、黒ずみが早く薄くなるのを助けます。
アゼライン酸(Azelaic acid): 色素を抑え、ニキビのある肌にも向いています。
トラネキサム酸(Tranexamic acid)とアルブチン(Arbutin): 色素の生成を抑えます。
AHA/BHAなどのピーリング成分: 色素がたまった角質を取り除くのを助けます。
これらの成分は数週間から数か月続けて使う必要があり、常に日焼け止めと併用してください。
炎症後色素沈着の治療法
毎日徹底して日焼け止めを使うことが最も大切です。日差しで跡が濃くなり、薄くなりにくくなるためです。
炎症の原因を治療すること。たとえば、ニキビを落ち着かせ、ニキビを潰さないことです。
色素を抑える成分を塗る。ナイアシンアミド、ビタミンC、レチノイド、アゼライン酸などを続けて使います。
クリニックでの施術。跡が濃い場合や長く続いている場合には、ケミカルピーリング(chemical peeling)や色素を抑えるレーザーなどを行います。
繰り返しの刺激を避けること。新たな炎症が起こると、黒ずみがさらに増えるためです。
炎症後色素沈着は自然に治りますか。どのくらいかかりますか
炎症後色素沈着は、多くの場合、時間とともに自然に薄くなりますが、数か月から1年以上かかることが一般的です。特に深い跡や肌の色が濃い方ではその傾向があります。日焼け止めと色素を抑える成分を使うと、はっきりと早く薄くなります。反対に、日光に頻繁に当たったり炎症を繰り返したりすると、跡が長く残ったり濃くなったりすることがあります。
皮膚科を受診したほうがよいサインです
黒ずみが広範囲に及ぶ、濃い、または長く続いて薄くならない場合。クリームを使っていても同様です。
慢性的な炎症性ニキビがあり、黒ずみの原因が続いている場合。
黒ずみ、赤み、肝斑、ニキビ跡のへこみのどれか判断できない場合。それぞれ治療が異なります。
跡を早く薄くしたい場合。レーザーやピーリングなどの施術を安全に受けられます。
炎症後色素沈着についてのよくある誤解
「ニキビ跡の黒ずみはそのうち治るので何もしなくてよい」 — 自然に治ることもありますが、非常に時間がかかり、日焼け止めを使わないと長く残ったり濃くなったりすることがあります。
「顔を強くこすれば黒ずみが早く薄くなる」 — 強くこすると肌に炎症が起こり、黒ずみが増えます。
「ニキビを潰せば跡が早く治る」 — 潰したりいじったりすると炎症が強まり、以前よりはっきりした黒ずみになります。
「黒ずみ用のクリームはすぐに効果が出る」 — 数週間から数か月続けて使う必要があります。継続することと日焼け止めが最も大切です。
炎症後色素沈着についてのよくある質問
ニキビ跡の黒ずみ(炎症後色素沈着)の原因は何ですか
ニキビやニキビを潰すことなどによる皮膚の炎症が色素細胞を刺激し、メラニンが通常より多く作られて、炎症のあった部分に茶色から黒の跡ができます。肌の色が濃い方に多く、目立ちやすい傾向があります。
PIHと赤み(PIE)はどう違いますか
PIHはメラニン色素による茶色から黒の跡で、PIEは毛細血管によるピンクから赤の跡です。肌を引っ張って跡が薄くなる場合は赤みであることが多いです。治療法が異なるため、正しく見分けることが大切です。
炎症後色素沈着は自然に治りますか
多くは自然に薄くなりますが、特に肌の色が濃い方では数か月から1年以上かかります。日焼け止めと色素を抑える成分で早く薄くなりやすくなり、日光や繰り返す炎症があると長引きます。
黒ずみを本当に薄くする成分は何ですか
研究で裏付けられているのは、ナイアシンアミド、ビタミンC、レチノイド、アゼライン酸、トラネキサム酸、アルブチン、AHA/BHAなどのピーリング成分です。続けて使い、日焼け止めと併用する必要があります。
クリニックでの黒ずみの治療にはどのようなものがありますか
ケミカルピーリング(chemical peeling)や、色素を抑えるレーザーなどがあります。跡が濃い場合や長く続いている場合に、薄くなるのを早める助けになります。安全のため、皮膚科医の管理のもとで行ってください。
日焼け止めは黒ずみに本当に役立ちますか
はい、最も大切です。日差しは色素の生成を刺激して跡を濃くし、薄くなりにくくします。毎日日焼け止めを塗ることで跡が早く薄くなり、新しい黒ずみも防げます。
ニキビ跡の黒ずみや炎症後色素沈着が長く続く、または薄くならない場合は、皮膚科を受診して診察を受け、肌に合った治療計画を立ててください。Siam Dermatologyの皮膚科専門医にご相談いただけます。電話 +66 61 448 7000、またはLINE @siamderm まで。
執筆:Patara Voravutinon 医師、皮膚科専門医 · 最終確認日 2026年8月22日


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