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帯状疱疹の原因とは?皮膚科医が解説する初期症状、単純ヘルペスとの見分け方、72時間以内に受診すべき理由

3 日前
読了時間: 26分

帯状疱疹(Herpes zoster、Shingles)は、神経節に潜んでいた水痘ウイルス(Varicella-zoster virus、VZV)が再び増殖して起こる病気です。体の片側の神経に沿って、焼けるような痛みと、帯状に並ぶ透明な水ぶくれが現れます。発疹の多くは7〜10日でかさぶたになり、2〜4週間で治ります。抗ウイルス薬は、発疹が出てから72時間以内に始めるのが望ましいとされています。

海外のデータでは、人口の約3人に1人が一生のうちに一度は帯状疱疹になるとされ、50歳を過ぎると明らかに多くなります。緊急性は、発疹の大きさよりも、できた部位と患者さんの状態によって決まります。そのため、鼻先にできた小さな帯状の発疹は、腰にできた長い発疹よりも注意が必要です。この記事では、部位ごと、患者さんのタイプごとに分けて説明します。

帯状疱疹の原因

帯状疱疹は、他の人から直接うつって発症するものではありません。原因となるウイルスは、水痘(水ぼうそう)と同じものです。水痘が治ってもウイルスは消えず、脊髄の脇にある神経節や脳神経節の中で、何十年も静かに潜んでいます。このウイルスに対する免疫が弱まると、ウイルスが増殖し、神経に沿って皮膚に出てきます。

この仕組みで、症状のほとんどが説明できます。1本の神経が皮膚の1つの帯状の領域(dermatome)を支配しているため、発疹は帯状に並び、体の正中線で止まります。また、神経そのものが炎症を起こすため、発疹の見た目以上に強い痛みが出ます。

ウイルスに対する免疫が下がる要因には、次のようなものがあります。

  • 年齢:主なリスク要因です。VZVに対する免疫は加齢とともに低下し、特に50歳以上で目立ちます。

  • 免疫を抑える病気:HIV感染、血液のがん、臓器移植など。

  • 免疫を抑える薬:抗がん剤、高用量のステロイドの長期使用、生物学的製剤、JAK阻害薬など。

  • 持病:糖尿病、慢性腎不全、慢性の肺疾患、一部の自己免疫疾患など。

  • ストレスや重い病気:きっかけになることはありますが、はっきりした誘因がなく発症する方も多くいます。

若くて健康な人でも帯状疱疹になることはあり、多くの場合、隠れた病気があるという意味ではありません。再発した場合、発疹が複数の領域に広がる場合、免疫不全が疑われる経過がある場合には、医師が追加の検査を行います。

帯状疱疹は何日で治る?初日から皮膚が治るまでの経過

各段階の期間は、ほとんどの人でおおむね共通しています。この経過を知っておくと、今の症状が普通の経過なのか、治りが遅いのかを判断する目安になります。

  • 発疹の1〜5日前:片側の帯状の範囲に、焼けるような痛み、ピリッとする痛み、かゆみ、しびれが出ます。皮膚にはまだ何も見えません。

  • 発疹の1〜2日目:痛みのある範囲に沿って赤い斑ができ、12〜24時間以内に透明な水ぶくれの集まりになります。

  • 3〜5日目:新しい水ぶくれが出続けることがあり、古い水ぶくれは濁り始めます。

  • 7〜10日目:水ぶくれが破れてかさぶたになります。すべてかさぶたになれば、他の人にうつすことはなくなります。

  • 2〜4週目:かさぶたが取れて皮膚が閉じます。高齢の方や免疫が低下している方は、これより長くかかることがあります。

  • その後:黒ずみや赤みが数か月残ることがあります。傷が深い場合や細菌が再び感染した場合は、瘢痕(あと)が残ることもあります。

痛みが発疹と同時に終わるとは限りません。発疹が出た日から3か月を超えて痛みが続く場合は、帯状疱疹後神経痛と呼ばれます。これについては後の項目で説明します。

発疹が出る前の帯状疱疹の初期症状:片側のピリピリした痛み

特徴:焼けるような痛み、電気が走るような痛み、深いかゆみ、片側の帯状のしびれなどが出ます。衣類が触れるだけで痛むこともあります。頭痛、だるさ、微熱を伴うこともあります。この時期は約1〜5日続き、多くは2〜3日です。

原因:ウイルスが増殖して神経が炎症を起こし、その後に皮膚へ出てきます。

重症度・緊急度:症状そのものは危険ではありませんが、間違えやすいのが特徴です。左胸の痛みは心臓病に、脇腹の痛みは腎結石に、下腹部の痛みは虫垂炎に似ていることがあります。自分で帯状疱疹だと決めつけないでください。

受診の目安:胸の圧迫感、息苦しさ、強い腹痛、高熱がある場合は、発疹を待たずにすぐ病院へ行ってください。症状が重くなく、片側の帯状にヒリヒリ痛む場合は、その部分の皮膚を毎日確認し、赤い斑や最初の水ぶくれを見つけたらすぐに受診してください。

神経に沿った痛みがあるのに発疹が出ない場合(Zoster sine herpete)

特徴:帯状疱疹と同じ焼けるような痛みが片側の帯状に数日以上続きますが、水ぶくれはまったく出ません。まれなタイプです。

原因:ウイルスが神経の中で再活性化しても、皮膚には出てこない場合です。

重症度・緊急度:発疹がないため診断が難しく、まず他の病気を除外する必要があります。神経症状がある場合は、ウイルスの証拠を調べるために血液検査や髄液検査が必要になることもあります。

受診の目安:原因がわからない片側の帯状の痛みが1週間以上続く場合、または顔のゆがみ、目の痛み、耳が詰まる感じ、脱力などを伴う場合は受診してください。

体幹・腰・背中の帯状疱疹:最も多い部位

特徴:赤みのある皮膚の上に透明な水ぶくれが集まり、背中の中央から体の前面へ回り込むように、片側に帯状に並んで正中線で止まります。患者さんの約半数は体幹に発症します。

原因:胸部(thoracic)の神経節からウイルスが再活性化します。この神経は皮膚を体の周りに横向きに帯状に支配しています。「腰に巻きつく」という言い方は、この特徴に由来します。

重症度・緊急度:健康な人では多くの場合危険ではありませんが、特に50歳以上の方や痛みが強い場合は、72時間以内に薬を始めることが大切です。

受診の目安:疑った時点ですぐに受診してください。発疹が帯状にそろうのを待つ必要はありません。この部位に発疹が出て、お腹が張る感じや片側だけお腹が膨らむ場合は、医師に伝えてください。この神経は腹壁の筋肉も支配しているためです。

顔・頭皮・口の中の帯状疱疹

特徴:額、頬、あごの片側に発疹が出て、正中線を越えません。頭皮の場合は、水ぶくれが見える前に、髪をとかすと痛みを感じることがあります。口の中の場合は、片側の上あごや歯ぐきに浅い潰瘍が複数でき、歯痛のような痛みが出ることもあります。

原因:三叉神経節(trigeminal ganglion)からウイルスが再活性化します。三叉神経は顔を額、頬、あごの3つの領域に分けて支配しています。

重症度・緊急度:体幹よりも緊急性が高くなります。顔の発疹は目立つあとが残ることがあります。頭皮の発疹は部分的な脱毛を起こすことがあり、永続的な瘢痕が残る方もいます。額に発疹がある場合は、常に目への影響にも注意が必要です。

受診の目安:顔に出た場合は当日中に受診してください。広がるのを待たないでください。強い頭痛、嘔吐、首のこわばり、意識の混乱がある場合は救急外来へ行ってください。

目と鼻先の帯状疱疹(Herpes zoster ophthalmicus)

特徴:額とまぶたの片側に発疹が出て、まぶたの腫れ、目の充血、目の不快感、まぶしさ、かすみ目が出ることがあります。鼻先や鼻の脇の水ぶくれ(Hutchinson's sign)は、ウイルスが目に及んでいるおそれを示す重要なサインです。

原因:三叉神経の第1枝でウイルスが再活性化します。帯状疱疹の患者さんの約10〜20%にみられます。

重症度・緊急度:緊急です。抗ウイルス薬を使わない場合、約半数に角膜炎、虹彩炎、緑内障、網膜炎などの目の合併症が起こり、視力を失うことがあります。早期に治療すると、このリスクは大きく下がります。

受診の目安:目の周り、額、鼻先に発疹がある場合は、目が正常に見えても24時間以内に受診し、すぐに眼科医の診察を受けてください。ステロイド入りの目薬を自己判断で使わないでください。角膜の感染が広がるおそれがあります。

耳の帯状疱疹:顔のゆがみ、耳鳴り、めまい(Ramsay Hunt syndrome)

特徴:耳の奥の痛みに続き、同じ側の耳たぶ、耳の穴の中、舌や上あごに水ぶくれができます。その後、顔の片側のゆがみ、目が閉じにくい、口角が下がる、耳が詰まる感じ、耳鳴り、めまい、味覚の変化が出ます。水ぶくれより先に顔のゆがみが出る方もいて、ベル麻痺(Bell's palsy)のように見えることがあります。

原因:顔面神経の膝神経節(geniculate ganglion)でウイルスが再活性化し、近くにある聴神経や平衡をつかさどる神経にも広がります。

重症度・緊急度:こちらも緊急です。顔が元に戻る可能性は治療の速さによって変わります。3日以内に始めれば約70%で正常に戻りますが、それより遅いと半分程度かそれ以下になります。医師は、状況に応じて抗ウイルス薬と、プレドニゾロン(prednisolone)などの飲むステロイドを併用することがあります。

受診の目安:耳に水ぶくれがあり、顔のゆがみ、耳が詰まる感じ、めまいを伴う場合は当日中に受診し、耳鼻咽喉科の診察も受けてください。目が閉じにくい場合は、指示に従って人工涙液を点眼し、就寝時は目を覆って、角膜の乾燥を防いでください。

腕・脚・お尻・陰部の帯状疱疹

特徴:片側の腕や脚の長さに沿って帯状に発疹が出ます。または、片側のお尻、足の付け根、陰部に集まって出ます。同じ範囲の腕や脚に力が入りにくくなる方もいます。お尻や陰部に出た場合は、尿が出にくい、便秘になるなどの症状が出ることがあります。

原因:頸部、腰部、仙骨部の神経節からウイルスが再活性化し、運動をつかさどる神経線維にも影響することがあります。この脱力は約1〜5%にみられます。

重症度・緊急度:発疹そのものは体幹の場合と変わりませんが、陰部の発疹は単純ヘルペスと間違えやすい点に注意が必要です。鑑別は、治療やパートナーへの対応に影響します。脱力は、数か月かけて回復することが多いです。

受診の目安:尿が出ない、腕や脚にはっきりした脱力がある場合は、その日のうちに受診してください。陰部の水ぶくれが同じ場所に何度も出る場合は、帯状疱疹よりも単純ヘルペスを考えます。

高齢者の帯状疱疹

特徴:発疹は広く、水ぶくれも深い傾向があり、傷の治りが遅く、痛みも強くなります。混乱したり、食欲がなくなって食べられなくなったりする方もいます。

原因:加齢によるウイルスへの免疫の低下に加え、持病や複数の薬の影響があります。

重症度・緊急度:年齢とともに高くなります。慢性の神経痛のリスクは60歳を過ぎると明らかに上がります。抗ウイルス薬は腎機能に合わせた調整が必要で、神経痛の薬は眠気やふらつき、転倒を起こすことがあります。

受診の目安:50歳以上の方は、発疹が小さくても72時間以内に受診してください。ご家族は、混乱、ぼんやりする、水分があまりとれないといった様子に注意し、そのような場合は再受診してください。

免疫が低下している人の帯状疱疹:複数の領域に広がる発疹(Disseminated zoster)

特徴:複数の領域への発疹、両側への発疹、または水痘のように全身に水ぶくれが散らばります。医学的には、主な領域の外に水ぶくれが20個を超える場合、または3つ以上の領域に出た場合を、播種性の帯状疱疹とします。発疹が慢性化して潰瘍や厚い隆起になり、治りにくい方もいます。

原因:HIV感染者、抗がん剤治療中のがん患者、臓器移植を受けた方、免疫抑制薬を使っている方など、免疫がウイルスを抑えきれない場合です。

重症度・緊急度:高いです。ウイルスが肺、肝臓、脳に及ぶことがあります。重症の場合は入院して、アシクロビル(acyclovir)を静脈内に投与します。通常は10 mg/kgを8時間ごとに、腎機能に応じて調整します。この群では、72時間を過ぎていても薬を使うことが多くあります。

受診の目安:発疹が2つ以上の領域に出た場合や、領域の外に水ぶくれがある場合は、すぐに受診してください。免疫の病気やがんの治療中の方は、当日中に主治医に伝えてください。息切れ、咳、強い腹痛、意識の混乱がある場合は救急外来へ行ってください。

妊娠中の帯状疱疹

特徴:一般的な帯状疱疹と同じで、片側の帯状の発疹とヒリヒリした痛みが出ます。

原因:もともと潜んでいたウイルスが再活性化したものです。そのためお母さんはこのウイルスに対する免疫をすでに持っており、妊娠中に初めて水痘にかかる場合とは異なります。

重症度・緊急度:多くのデータでは、母親の帯状疱疹が胎児に影響することはほとんどないとされています。ウイルスが血液中に入ることが通常ないためです。ただし、薬の選択には注意が必要です。アシクロビルとバラシクロビルは、妊娠中の使用データが比較的多い薬です。

受診の目安:疑ったらすぐに産科医または皮膚科医を受診してください。自己判断で薬を買って飲まないでください。水痘にかかったことのない妊婦さんが、水ぶくれがまだ乾いていない帯状疱疹の方と近くで接した場合は、数日以内に医師に伝えてください。曝露後予防を10日以内に行う必要があるためです。

子どもの帯状疱疹

特徴:大人と同じように帯状に発疹が出ますが、痛みは軽く、発疹も軽いことが多いです。

原因:1歳未満で水痘にかかった子や、母親が妊娠中に水痘にかかった子に多くみられます。このとき作られた免疫がまだ十分に強くないためです。

重症度・緊急度:健康な子どもではたいてい良好に治り、慢性の痛みはごくまれです。免疫抑制薬を使っている子やがん治療中の子は、特に注意が必要です。

受診の目安:診断を確かめるため、毎回受診してください。子どもの水ぶくれの発疹には他の病気も多くあります。子どもの薬の量は体重で計算します。大人の薬を分けて飲ませないでください。

帯状疱疹は再発する?

特徴:帯状の発疹が再び出ます。以前と同じ場所のこともあれば、別の場所のこともあります。長期の追跡データでは、8年間で約5%に再発がみられました。

原因:帯状疱疹にかかると免疫が刺激されますが、一生続く予防にはなりません。高齢者や免疫が低下している方で、リスクが高くなります。

重症度・緊急度:再発時の発疹は、前回と同じように治療します。ただし、同じ場所に何度も出る場合は、帯状疱疹のように並ぶ単純ヘルペス(zosteriform herpes simplex)を疑う必要があります。患者さんへの説明が異なります。

受診の目安:再発したときは毎回受診してください。医師が水ぶくれから原因の菌を調べたり、免疫不全がないかを調べたりすることがあります。

帯状疱疹後神経痛(Postherpetic neuralgia、PHN)

特徴:発疹が治っても、同じ帯状の範囲に、焼けるような痛み、ピリッとする痛み、衣類が触れるような軽い刺激でも痛む感覚(allodynia)が残ります。一般に、発疹が出た日から3か月を超えて痛みが続く場合をいいます。

原因:炎症によって神経が傷つき、ウイルスが落ち着いた後も痛みの信号を送り続けます。リスク要因は、高齢、初期の強い痛み、広い発疹、顔に出たことです。

重症度・緊急度:命に関わるものではありませんが、睡眠や食事の妨げになり、気分の落ち込みにつながることがあります。帯状疱疹の患者さんの約10〜18%にみられ、40歳未満ではほとんどみられません。多くは1年以内に少しずつ良くなりますが、数年続く方もいます。

受診の目安:発疹の時期から痛みが強くて眠れない場合、または発疹が出てから4週間を過ぎても痛む場合は、3か月たつのを待たずに受診してください。痛みが続いて気力がなくなってきたら、医師にそのまま伝えてください。

帯状疱疹は危険?待てないサイン

帯状疱疹の多くは命に関わるものではなく、2〜4週間で治ります。ただし、その日のうちに受診すべき症状があります。

  • 目の周り、額、鼻先の水ぶくれ:視力に影響するおそれがあります。

  • 耳の水ぶくれに加え、顔のゆがみ、耳が詰まる感じ、めまいがある:治療が遅れると顔が元に戻らないことがあります。

  • 強い頭痛、首のこわばり、混乱、けいれん:髄膜炎や脳炎が疑われます。

  • 体の片側の脱力、ろれつが回らない:研究で、最初の数週間は脳卒中のリスクが一時的に高まることが示されています。

  • 腕や脚の脱力、尿が出ない:運動をつかさどる神経に影響が及んでいます。

  • 複数の領域の発疹、領域外に散らばる水ぶくれ:特に免疫が低下している方で注意が必要です。

  • 高熱、赤く腫れた傷が広がる、膿が多い、5日目以降に痛みが強くなる:細菌の二次感染のおそれがあります。

帯状疱疹はうつる?

他の人が帯状疱疹そのものを患者さんから直接うつされることはありません。ただし、水ぶくれの中のウイルスは広がることがあります。水痘にかかったことがなく、水痘ワクチンも受けていない人が水ぶくれの液に触れると、帯状疱疹ではなく水痘を発症します。すでに水痘にかかったことのある人は、一般的にはうつりません。

  • うつる期間:最初の水ぶくれが出てから、すべてかさぶたになるまでです。通常は約7〜10日です。発疹が出る前はうつりません。

  • 感染経路:主に水ぶくれの液に直接触れることです。全身に広がった発疹の場合や免疫が低下している方の場合は、空気を介しても広がることがあります。

  • 避けるべき人:免疫のない妊婦さん、新生児、ワクチンをまだ受けていない乳児、免疫が低下している方です。

  • うつりにくくする方法:傷をくっつかないガーゼで覆い、発疹の上に衣類をかぶせ、こまめに手を洗い、タオルを共有しないでください。

  • 仕事に行くこと:発疹をしっかり覆えていて、上記のリスクのある人と接する仕事でなければ、体調が許せば通常は出勤できます。医療従事者、幼稚園の先生、乳児のお世話をする方は、事前に医師に相談してください。

帯状疱疹と単純ヘルペス、接触皮膚炎、その他の水ぶくれの病気との見分け方

帯状疱疹の特徴は3つです。片側であること、帯状であること、痛みが先に出ることです。3つがそろっていれば、多くは診察だけで診断できます。

  • 単純ヘルペス(Herpes simplex):数センチほどの小さな水ぶくれの集まりで、同じ場所に繰り返し出て、痛みは軽めです。ヘルペスの原因と口唇ヘルペスの記事もご覧ください。口唇ヘルペスは、顔の帯状疱疹と間違えやすい部位です。

  • 接触皮膚炎(Contact dermatitis):目立つのは痛みではなくかゆみです。発疹の形は、触れたものに沿った線状や形になることが多く、神経の走行には沿いません。

  • とびひ(Bullous impetigo):水ぶくれが破れやすく、蜂蜜色のかさぶたになります。子どもに多く、帯状ではなく、先行するヒリヒリした痛みもありません。

  • 水痘(Chickenpox):体の両側の全身に水ぶくれが散らばり、体幹と顔から始まります。発熱があり、時期の異なる水ぶくれが同時にみられます。

  • アオバアリガタハネカクシなどの有毒な虫:払いのけた跡に沿った線状の発疹で、ヒリヒリしますが、数日前から痛みが先行することはなく、発疹の並びも神経の走行と一致しません。

医師はどのように帯状疱疹を診断するか

多くの場合、医師は先行する痛みの経過と発疹の様子から、血液検査をせずに診断できます。追加の検査は、発疹がはっきりしない場合、再発した場合、免疫が低下している患者さん、帯状に並ぶヘルペスが疑われる場合に行います。

  • 水ぶくれの液や傷の底からのPCR:感度が高く、VZVと単純ヘルペスウイルスを区別できます。主な検査です。

  • Tzanck smear:水ぶくれの底をこすって細胞を調べます。結果は早く出ますが、帯状疱疹と単純ヘルペスは区別できません。

  • 細隙灯顕微鏡(slit lamp)による目の検査:発疹が額、目、鼻の領域にある場合に行います。

  • 聴力と顔面神経の働きの検査:Ramsay Hunt症候群が疑われる場合に行います。

帯状疱疹の治療:抗ウイルス薬と72時間の目安

抗ウイルス薬が治療の中心です。新しい水ぶくれが出るのを早く止め、傷の治りを早め、急性期の痛みを軽くします。多くのガイドラインは、発疹が出てから72時間以内に始めることを勧めています。主に使われる薬は3種類です。

  • アシクロビル(acyclovir)内服:1回800 mgを1日5回、7〜10日間。広く使われています。問題は服用回数が多く、飲み忘れやすいことです。飲み切れないことが、治療効果が下がる原因の1つです。

  • バラシクロビル(valacyclovir)内服:1回1 gを1日3回、7日間。吸収が良く、服用も楽です。

  • ファムシクロビル(famciclovir)内服:1回500 mgを1日3回、7日間。こちらも服用が楽です。

薬が効くかどうかを決めるのは、どれだけ早く始めるかと、決められた期間を飲み切るかどうかです。3〜4日目にまだ痛みがあっても、薬が効いていないという意味ではありません。神経の回復には時間がかかるためです。再受診すべきサインは、7日を過ぎても新しい水ぶくれが出る、または発疹が領域の外に広がることです。

72時間を過ぎても飲める?多くの場合、飲めます。新しい水ぶくれがまだ出ている場合、顔や耳に発疹がある場合、高齢の場合、免疫が低下している場合は、医師が薬を使うことが多くあります。

注意点:3種類とも腎臓から排泄されます。腎機能が低下している場合は量を減らさないと、混乱や薬による急性腎不全が起こることがあります。服用中は十分に水分をとってください。よくみられる副作用は吐き気と頭痛です。

塗る抗ウイルス薬:帯状疱疹の治療には使いません。薬が、神経の中にある原因まで届かないためです。

飲むステロイド:全員に使うわけではありません。Ramsay Huntや重い神経炎など、一部の場合に限って使い、慢性の痛みの予防にはなりません。

抗ウイルス薬が慢性の痛みをすべての人で防げるわけではありません。まとめた研究でも、PHNの発生をどの程度減らせるかは明確ではありません。ただし、急性期の重症度を下げ、受けるべき主な治療です。薬の種類と量を選ぶのは医師の役割で、年齢、腎機能、飲んでいる薬、発疹の部位を確認する必要があります。薬を始める前に医師を受診してください。

発疹が出ている間の痛み止め:どう選ぶか

初期の強い痛みはPHNのリスク要因です。痛みをしっかり抑えることは治療の一部であり、楽にするためだけのものではありません。

  • 軽度から中等度の痛み:パラセタモール(paracetamol)を1回500〜1,000 mg、痛いときに6時間ごと。1日3〜4 gを超えないでください。または、イブプロフェン(ibuprofen)などのNSAIDを1回400 mg、短期間使います。腎臓病、胃の病気がある場合や、血液をさらさらにする薬を飲んでいる場合は、事前に医師に相談してください。

  • ヒリヒリする痛み、ピリッとする痛み、痛くて眠れない:医師が、ガバペンチン(gabapentin)またはプレガバリン(pregabalin)を追加することがあります。就寝前の少量から始めて、少しずつ増やします。眠気やめまいが出ることがあります。

  • 強い痛み:医師の管理のもとで、トラマドール(tramadol)などのオピオイド系の痛み止めを短期間使うことがあります。

  • 冷やす:清潔な布を冷水に浸して、15〜20分、1日に数回当てます。薬を増やさずに、焼けるような痛みを和らげます。

帯状疱疹後神経痛の治療

現実的な目標は、痛みを約30〜50%減らし、眠れて普通に生活できるようにすることで、感覚がすぐに完全になくなることではありません。この種類の薬は、医師が少しずつ量を調整する必要があり、痛いときだけでなく続けて飲んだり使ったりします。

  • ガバペンチン(gabapentin)内服:就寝前に100〜300 mgから始め、1日1,800〜3,600 mgまで少しずつ増やし、3回に分けます。目標の量に達してから2〜4週間後に効果を評価します。主な副作用は眠気とめまいです。

  • プレガバリン(pregabalin)内服:1回75 mgを1日2回から始め、1日300〜600 mgまで調整できます。高齢の方は、これより少ない量から始めることが多いです。むくみや体重増加が出ることがあります。2種類とも腎機能に合わせて調整し、急にやめてはいけません。

  • 少量のアミトリプチリン(amitriptyline)またはノルトリプチリン(nortriptyline):就寝前に10〜25 mgから始め、症状に応じて調整します。効果が出るまで数週間かかります。口の渇き、排尿しにくさ、不整脈が起こることがあるため、高齢の方、心臓病、緑内障、前立腺肥大のある方は注意が必要です。

  • リドカイン(lidocaine)5%パッチ:痛む部分に最大3枚まで貼り、12時間貼ったら12時間はがします。傷のない皮膚に貼る必要があります。痛む範囲が狭い場合、眠気を避けたい方、高齢の方に向いています。2〜4週間で効果を評価します。

  • カプサイシン(capsaicin):0.075%のクリームを1日3〜4回塗ります。最初はかなりヒリヒリします。8%パッチは医師が1回60分貼り、1回ごとに少なくとも3か月あけます。

  • トラマドール(tramadol)などのオピオイド:上記の薬で足りない場合に次に考える選択肢で、必要な範囲で短期間だけ使います。

  • ボツリヌストキシン(botulinum toxin)の皮内注射、神経ブロック注射、またはペインクリニックへの紹介:治療に反応しない場合に使います。根拠の多くは小規模な研究によるものです。

成功を決めるのは、十分な量を十分な期間使うことです。眠気や、まだ効果が見えないことを理由に、効果の出る量に達する前の最初の1週間でやめてしまう方も少なくありません。最初の薬が効かなくても、変更や併用が可能です。年齢、持病、飲んでいる薬に応じて、医師が判断します。

あわせてセルフケアも行えます。柔らかい素材の服を着る、透明なフィルムや薄いぴったりした服で衣類のこすれを防ぐ、ヒリヒリするときは冷やす、規則正しく眠る、気分の落ち込みや不眠が始まったら医師に伝える、などです。

帯状疱疹のときの自宅でのケア

  • 入浴は普段どおりで大丈夫です:ぬるめのお湯を使い、やさしく洗って水分を押さえるようにふき取ります。傷はこすらないでください。入浴で発疹が広がることはありません。

  • 水ぶくれをつぶしたり破ったりしない:自然に乾くのを待ちます。つぶすと傷が深くなり、瘢痕になります。

  • 傷の手当て:水ぶくれが破れたら、生理食塩水でやさしく拭き、くっつかないガーゼで覆います。

  • 塗らないほうがよいもの:歯みがき粉、パウダー、すりつぶした薬草、白酒、各種の油は、刺激になったり、再び感染したりするおそれがあります。

  • 衣類:ゆったりした、柔らかくて風通しのよいものを着ます。

  • 食事:普段どおりに食べて大丈夫です。鶏肉、卵、いわゆる「避けるべき食べ物」を控える必要があるという根拠はありません。しっかり食べて、水分をとることを心がけてください。

  • 薬:症状が良くなっても、抗ウイルス薬は決められた期間を飲み切ってください。

帯状疱疹ワクチン:誰が受けるべきか、何回接種するか

帯状疱疹ワクチンは、根拠が明確な予防法です。発症の可能性も、慢性の神経痛が起こる可能性も下げます。ただし、発疹が出ている間の治療には使いません。

  • 組換えワクチン(recombinant zoster vaccine):現在のガイドラインで推奨されているワクチンです。生きたウイルスは含まれません。筋肉内に2回、2〜6か月あけて接種します。十分な免疫を得るには、2回とも接種する必要があります。

  • 接種を受けるべき人:50歳以上の方です。また、免疫が低下している、または免疫抑制薬を使う予定のある18歳以上の方も対象です。後者の方は、2回目を1〜2か月あけるだけで接種できる場合があり、免疫抑制薬を始める前に接種を計画しておくことが望ましいです。

  • 効果:主要な研究では、50歳以上で約97%、70歳以上で約90%の発症予防効果がみられ、約10年の追跡でも約90%近い予防効果が保たれていました。

  • 副作用:接種部位の痛みと腫れ、だるさ、筋肉痛、微熱が2〜3日続きます。約6人に1人は症状が強く、一時的に仕事を休む必要がありました。接種する日は都合のよい日を選んでください。

  • すでに帯状疱疹にかかったことがある:再発の可能性を下げるために、接種できます。発疹が治り、急性期の症状が落ち着くのを待ってください。

  • 以前に生ワクチンを1回受けたことがある:このワクチンの予防効果は約50%で、時間とともに低下します。そのため、組換えワクチンを少なくとも8週間あけて、改めて接種できます。

  • 接種を延期または避けるべき人:以前の接種や、ワクチンの成分に重いアレルギーがあった方です。妊娠中の方は延期してください。重い病気にかかっている方は、治るまで待ってください。

水痘ワクチンと帯状疱疹ワクチンは別のものであり、代わりにはなりません。水痘にかかったかどうか覚えていない方でも、50歳以上の多くはすでにウイルスにさらされています。持病や使用中の薬に合うワクチンの種類は、医師に相談してください。

「帯状疱疹が腰に巻きついたら死ぬ」などの俗説

  • 「腰を一周したら死ぬ」:事実ではありません。ウイルスは片側の神経に沿って広がるため、発疹は正中線で止まります。両側に出ることはきわめてまれで、実際に起こった場合は、早く治療すべき免疫低下のサインです。発疹が一周したから亡くなるのではありません。

  • 「民間の施術者に呪文やまじないをしてもらう必要がある」:治療に効くという根拠はありません。発疹が良くなって見えるのは病気の自然な経過によるもので、待つことで72時間の時期を逃してしまいます。

  • 「歯みがき粉や薬草を塗ると水ぶくれが乾く」:効果がなく、刺激や再感染のおそれがあります。

  • 「鶏肉や卵、避けるべき食べ物は食べてはいけない」:根拠はありません。食事を制限しすぎると、たんぱく質が不足します。

  • 「一度かかったらもうならない」:事実ではありません。まれですが再発することがあるため、ワクチンの接種を考えてください。

  • 「患者の近くにいるとうつる」:完全に正しいとはいえません。うつる場合は水痘として発症し、免疫のない人だけに起こります。

ポイントのまとめ

  • 帯状疱疹(Herpes zoster)は、神経節に潜んでいた水痘ウイルスが再活性化して起こります。片側の帯状に発疹が出て、1〜5日前から痛みが先行します。

  • 小さなまとまりで同じ場所に繰り返し出る単純ヘルペス、かゆみが目立つ接触皮膚炎、全身に散らばる水痘とは異なります。

  • 抗ウイルス薬は発疹が出てから72時間以内に始めるのが望ましく、発疹は多くの場合7〜10日でかさぶたになり、2〜4週間で治ります。

  • 目の周り、鼻先、耳の発疹、または複数の領域への発疹は、その日のうちに受診してください。

  • 3か月を超えて痛みが続く場合はPHNです。量を調整する薬とパッチによる治療があり、痛みを我慢する必要はありません。

  • 組換えワクチンを2〜6か月あけて2回。50歳以上の方に推奨されています。

帯状疱疹についてのよくある質問

帯状疱疹の原因は?

帯状疱疹は、水痘と同じVaricella-zosterウイルスによって起こります。子どものころに水痘が治っても、ウイルスは体から消えず、神経節の中に何十年も潜んでいます。加齢による免疫の低下や、免疫を抑える病気や薬の影響でウイルスに対する免疫が弱まると、ウイルスが再び増殖して神経に沿って皮膚に出てくるため、片側の帯状に発疹が出ます。水痘のウイルスに一度も感染したことのない人は、帯状疱疹にはなりません。若くて健康な人でもかかりますが、50歳以上の方よりは少なくなります。

帯状疱疹の初期症状は?

初期にはまだ発疹がありません。症状は、焼けるような痛み、ピリッとする痛み、かゆみ、または片側の帯状のしびれで、発疹の約1〜5日前から出ます。衣類が触れるだけで痛むこともあり、頭痛やだるさを伴う方もいます。その後、痛みのある部分の皮膚が赤くなり、12〜24時間以内に透明な水ぶくれの集まりが出てきます。片側の帯状に痛み、水ぶくれが見え始めたら、できるだけ早く受診してください。抗ウイルス薬は、発疹が出てから72時間以内に始めるのが望ましいためです。胸の圧迫感や強い腹痛がある場合は、発疹を待たずに先に病院へ行ってください。

帯状疱疹は何日で治る?

帯状疱疹の発疹は、多くの場合7〜10日でかさぶたになり、皮膚は2〜4週間で治ります。高齢の方や免疫が低下している方は、もっと長くかかることがあります。黒ずみや赤みは、その後も数か月残ってから薄くなります。痛みは発疹と一緒に良くなることが多いものの、特に高齢の方では、発疹が治った後も痛みが続くことがあります。発疹が出た日から3か月を超えて痛みが続く場合は帯状疱疹後神経痛と呼ばれ、引き続き治療が必要です。7日を過ぎても新しい水ぶくれが出る場合や、最初の週を過ぎて傷が悪化する場合は、再受診してください。

帯状疱疹はうつる?

帯状疱疹として直接うつることはありません。ただし、水ぶくれの液の中のウイルスによって、水痘にかかったことがなく水痘ワクチンも受けていない人は、水痘を発症することがあります。うつる期間は、最初の水ぶくれが出てからすべてかさぶたになるまでで、約7〜10日です。傷を覆い、こまめに手を洗い、タオルを共有しないようにしてください。この間は、免疫のない妊婦さん、新生児、免疫が低下している方との接触を避けてください。すでに水痘にかかったことのある同居のご家族は、通常、部屋や生活を分ける必要はありません。

帯状疱疹の治療法と薬は?

治療の中心は、飲む抗ウイルス薬です。アシクロビル(acyclovir)800 mgを1日5回、バラシクロビル(valacyclovir)1 gを1日3回、またはファムシクロビル(famciclovir)500 mgを1日3回、いずれも約7日間です。発疹が出てから72時間以内に始めるのが望ましく、痛みの強さに応じて、パラセタモールなどの痛み止めを併用します。神経の痛みにはガバペンチンを使うこともあります。薬の選択と量の調整は、年齢と腎機能に応じて医師が行いますので、自己判断で薬を買って飲まないでください。

帯状疱疹は危険?

多くは命に関わるものではなく、数週間で治ります。腰に巻きついたら死ぬというのは事実ではありません。心配なのは、部位と合併症です。目の周りや鼻先の発疹は視力に影響するおそれがあり、耳の発疹は顔のゆがみや耳の詰まる感じを起こすことがあります。高齢の方は慢性の神経痛のリスクがあり、免疫が低下している方は発疹が広がり、ウイルスが内臓に及ぶことがあります。強い頭痛、首のこわばり、混乱、脱力がある場合は、すぐに救急外来を受診してください。

この記事の内容は一般的な情報であり、個人に対する診断や治療の指示ではありません。記載している薬の量は、腎機能が正常な成人の標準的な量です。薬の選択と調整は、診察した医師の役割です。

執筆:Patara Voravutinon 医師(皮膚科専門医)· 最終確認日 2026年11月4日

 
 
 

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